12/10 憲法審査会 「入管法改正案」の審議の足元で

退職から15年、「札幌子ども日本語クラブ」というボランティア団体の一員として外国にルーツを持つ子どもたちに日本語を教えています。

外国にルーツを持つ子どもたちに信頼される大人に
札幌市教育委員会は2006年から私たちの会の活動をベースに「外国人・帰国者の日本語学習支援事業」を立ち上げました。私たちはこの事業に指導協力者として登録し、要請のあった学校に出向きマンツーマンの指導をしています。現在、30名弱の会員が、約30校70人ほどの小・中・高(市立大通高)の子どもたちの支援をしています。私も現在、小・中・高の5校で週1~2回、ほぼ毎日子どもたちの日本語と、教科学習の支援をしています。
しかし、予算規模も政令指定都市の中で最下位、したがって必要な初期指導の時間も十分確保できない状況です。事業開始時は、いわゆる中国残留孤児と言われた中国帰国者の三世を中心に中国語を母語とする子どもたちが多かったのですが、現在は、渡日の理由も国際結婚や仕事など様々です。国籍も母語も家庭の事情も多様化しています。
子どもたちは、自分の希望で遠く離れた異国日本に来たわけではありません。親の都合で連れてこられたのです。したがって、それぞれの事情を受け入れ、日本語を学び、日本の生活に溶け込もうという意欲を持つこと自体が大変です。そんな子どもたちに日本語を教えながら、彼らのストレス、悩み、将来への不安などを感じ取り、聞き取りながら信頼される大人になれるよう横にいてあげることが大切だと思って仕事を続けています。

札幌日本語子どもクラブ (HPから)

「労働力を読んだのだが、やって来たのは人間だった」
今、国会で審議が始まった「入管法改正案」は外国人労働者を労働力不足を補うための雇用の調整弁にするものです。外国人労働者が増えるということは、やがては子どもたちも増えるということにつながります。スイスの作家マックス・フリッシュが外国人労働者問題について語った「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」という言葉の意味を国民みんなで考えるときです。
文科省は2014年に学校教育法施行細則の一部改訂し対象の児童生徒には「特別の教育課程」により各学校で日本語の指導を実施するということを打ち出しました。しかし、この国の心無い政権のやること、予算も、人も配置せず、すべて自治体、学校現場に丸投げです。
札幌市に対象児童生徒が多い学校への加配はわずか4名、しかも加配された先生方が特に日本語を指導するスキルを持っているわけではありません札幌市は他の政令指定都市や集住地域の市町村に比べるとまだまだ少ない方です。本州の集住地域では対象の児童生徒数は桁が違います。学校によっては3割から5割の子どもが外国にルーツを持つ子どもたちという学校すら出てきています。

母語の支援も大切な課題 生き届いた支援は待ったなし
そうした子どもたちは、子どもたちのニーズに応じた特別支援教育の対象なはずです。日本語の指導はもちろん、彼らのアイデンティティにかかわる問題として母語の支援も大切な課題です。こうした子どもへの行き届いた支援は、すべての子のニーズに応じた教育を実現する道につながる問題です。制度の充実は待ったなしの課題です。同時に、今を生きる子どもたちの支援も待ったなしです。

道退教石狩札幌支部

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