「憲法と子育て・教育を考えるつどい」集会アピール

「お母さん、心にトゲが刺さっているんだよ。そのトゲを抜く時には血が出るんだよ」
不登校になった子どものつぶやきです。
今、憲法を変えることを最大の政治目標とする安倍内閣のもとで、国民生活のあらゆる分野が深刻な危機に瀕し、子育てと教育にも、かつてない事態が広がっています。
子どもの貧困と子育て格差の広がりは、日本の子どもたちの豊かな成長発達の条件を大きくゆがめています。乳幼児期の子どもたちは、そのケアをめぐる施設条件のかつてない厳しさと、企業進出の悪影響にさらされています。子どもの安心安全な「居場所」確保に格差と自己責任を求める「市場化」という困難は、障がい児の放課後デイケア、学童保育、不登校、発達障害を抱える子どもたちの「居場所」などにも共通しています。
小中学校では、「学力テスト」体制が主導する自治体ぐるみの「学力向上」競争の圧力のもとで、子どもたちの学校生活は「学力テスト」対策、「学習スタンダード」「道徳と規範意識」「生活スタンダード」に覆われ、子どもにとってのあるべき学校の姿は大きくゆがめられています。
子どもの学校生活の不安やストレスの指標ともなる「校内暴力(小学生)」「いじめ」「不登校」「自殺」の統計数値は、全国一斉「学力テスト」の復活とともに急増し、大人社会に警鐘を鳴らし続けています。
一方で「学力テスト」体制は、公教育の教育産業依存をかつてない規模ですすめ、小中学校から高校、大学入試にいたる「学力テスト」とその対策にまで、企業の公教育参入が急激に進行しています。
競争と自己責任が強まる学校社会で分断と孤立化を深めていく子ども青年たちは、就職という社会参加の場面で、さらに深刻な困難に直面しています。
こうした子育て教育の現場のゆがみと困難はまた、そこに働く教職員の働き方のゆがみとなって広がり、学校の教育力が失われていくとともに、教職員の困難はまた、子どもにとっては最大の教育条件の悪化となります。
保育の困難さが子育て中の親たちを苦しめ、学校の困難さが子ども・若者たちを苦しめ続けているのが、憲法が危機に置かれているこの国の子育てと教育の現実です。
改憲への布石として教育基本法が変えられた2006年以降、困難さを拡げ続けてきたわが国の子育てと教育は今、最大の危機に直面しています。しかし、厳しく困難ななかでも子育てと教育を市民の手に取り戻す運動は各地で粘り強くすすめられています。何よりも、子ども、若者たちの間に育っている、自らの置かれている学校や社会の矛盾、困難さと正面から向き合う、みずみずしい感性や真摯な思いから、私たちは大きく励まされています。
私たちは本日、子育てと教育に関わるさまざまな市民が立場を超えてここに集いました。私たちはこの危機的な子育て教育の置かれている現状を、憲法違反の人権侵害と捉え、日本国憲法のもとにその回復を政府に強く求めます。まして、安倍内閣のもとで強硬にすすめられている憲法を変える動きなどは断じて容認できません。
今こそ、憲法の理念が子育てと教育に生かされる政治を求め、ご一緒に運動をひろげていきましょう。

2018年12月8日
「憲法と子育て・教育を考えるつどい」
教子育て九条の会第11回全国交流集会
参加者一同

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