「これから何回できるか分からないが、年一回墓参りを兼ねて、旅行でもしないか?」との弟の提案で昨年から始まった兄弟旅行。今回の当番は我が夫。目釣地は、『天空の里・遠山郷下栗の里』。
私が、2年前に埼退教のバス旅行で連れていってもらってから、折に触れてそのすばらしさを口にしていたので、夫の腹づもりはすでに決まっていたようです。姉、弟夫妻、それに私たちの計7人。静岡市と浜松市で義父母の墓参を済ませ、浜松から一路「天空の里」を目指しました。
折から、「赤旗」や「女性のひろば」に、新日本出版社発行の白鳥悳靖『天空の里・遠山郷』の広告が連日載っていました。「買おうか、でもちょっと高いな」と迷っていたら、Yさん(埼退教事務局次長)が、買ったばかりの写真集を貸してくれました。
下栗の里の人々が守り抜いてきた「霜月祭り」を中心に村人のくらしと風俗をモノクロ写真で綴った格調高い一冊です。旅の事前学習としてはこれ以上ない、うってつけの資料になりました。
事前学習としてはもう一つ。前日泊まった静岡市内のビジネスホテルで、眠れぬままにつけた深夜のテレビでなんと「旧大下條村村長・佐々木忠綱氏が住民への横暴、土地の強制収容、旧満州への分村移民反対の心情を吐露した生前の声を納めたテープが発見された」との特集番組が放映されていたのです。時間が許せば阿智村の「満蒙開拓平和記念館」にも立ち寄りたいと思っていたのですが、思いがけず前日に、内容の濃い事前学習をすることができました。
今回の宿は、旧小学校功の校舎を村人の手で築・運営している「高原ロッジ下栗」です。簡素ですが清潔で、そこかしこに「元小学校」の懐かしさを残した、私たちにはふさわしい宿でした。夜は庭先で星空観察、文字通り「ふるような星空」でした。『下栗いもの味噌田楽』など斜度30度の段々畑で栽培、収穫される特産物を中心にした献立の食事も好感が持てました。
夕食後、宿の人が「ちょうど、明日の『あさイチ(NHK)』でこの遠山郷の特集が放映される」と知らせてくれ、まさにご当地のど真ん中で臨場感満載の遠山郷を昧わいました。
翌日は木訥なボランティアガイドさんの案内で、村人総出で整備したという山道をたどって、ビューポイントヘ。最後は集落の急坂を下って、霜月の祭りの舞台・大明神で説明を受けながら祭りの雰囲気をあじわいました。
帰途、前回ケーブル切断の事故で行くことの出来なかった木曽駒ヶ岳の干畳敷カールにも行くことが出来ました。紅葉には早かったけど、しばし地上の酷暑を忘れさせてくれる肌寒さと雄大な山岳風景を満喫しました。
埼退教