【老いと付き合う】凛として~熊野古道・大峯送街道を行く~

私が日本一周走り旅2006.5~2010.4 16,586km)を終えて選んだ道は世界遺産熊野古道でした。主要7街道(小辺路・中辺路・大辺路・紀伊路・伊勢路・高野山町石道・大峯奥駈道)の6道までを縦走し、残されたのは修験道の修行の道:大峯奥駈道でした。

この道を走破したいと思い続けて8年の月日が流れ、今年は何があっても「行くぞ」と強い決意で7月3日、夜行高速バスで奈良駅に降り立ちました。 標高1700m級の険しい山々が連なる大峰山脈は、修験道の修行の聖地であり、吉野から熊野三山に至る約280kmの道程は、熊野詣での1ルートとして大峰道とも言われています。金峯山寺にお参りしました。奥千本の修行門前に立つとこれから“8泊9日の修行が始まるのか”と身が引き締まりました。青根ヶ峰、四寸岩山を経て大天井ヶ岳(1438.9m)へと山上の道は続きます。雨が降ってきました。九州・中国・関西は激しい雨で大きな被害が出ている時期でしたので、気が気ではありません。大天井ヶ岳への分岐が現れました。平坦とおぼしき道といきなり急登の狭い道:どっちを行こうかと思案していると修行僧と思われる30歳位の細身の男性が現れました。道を尋ねると「拙僧は修行の身で会話はできません」と取り付くしまがありません。でも、私にとっては強雨のなかどちらを行くかは大きな選択です。食い下がって行くべき道を尋ねました。僧は無言で、急登道を指しました。軽やかにかけ下って行く若い僧を「地獄で仏」の境地で見送っていました。あのように「凛とした」心根でこの奥駈道を辿りたいと身を正した一時でした。(合掌)※この旅は熊野本宮大社(和歌山県)まで続きます。また、お会いしましょう。

千退教

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする