教え子を再び戦場に送るな 全退教緊急アピール ※給特法改正法案を廃案に ※日本学術会議法案を廃案に                    

全退教は、2025年4月15日第4回幹事会で以下の2つの緊急アピールを発出しました。

全国の退職教職員のみなさん

教員の長時間過密労働を何ら解消せず、「新たな職(主務教諭)」を導入し、教職員の分断をはかる給特法改正法案を廃案にし、残業代支給可能な給特法の改正、教職員定数の抜本的改善を求めましょう。

                     2025.4.15全日本退職教職員協議会幹事会

1.政府は、今国会(第217国会)において、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」という)をはじめ、学校教育法、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(以下「地教行法」という)等の一部を改正する法案を提出しました(以下給特法等改正法案」という)

給特法等改正法案は、時間外手当を支払わないとし、教員の長時間過密労働を何ら解消するものではなく、また、「新たな職(主務教諭)」を導入し、職務・職階に基づく管理統制強化をはかるものです。「これでは学校がもたない」と悲痛な叫びをあげている現場教職員の願いに背くものであり、「給特法」法案に断固反対し、廃案を求めます。

2.そもそも今日の「教員不足」の実態を招いたのは、教員の長時間過密労働を強いてきた文部行政の責任は明らかです。2022年に行われた全日本教職員組合の「教職員勤務実態調査」によると、校内の時間外勤務と持ち帰り業務の時間を合わせ時間外勤務の平均は月96時間10分であり、8割以上の教員が校内で月45時間を超える時間外勤務を行っています。また、精神疾患によって休職せざるを得ない教員も、この10年、毎年5000名程度出ていましたが、2022年度は6500名、2023年度は7000名を超え、連続して過去最多を更新しています。こうした、教員の働き方の実態が、教員の早期退職や教員のなりて不足を招いているのです。

3.こうした過密労働の実態を解消するためには、抜本的な教職員定数改善が必要なことは明らかです。ところが、文科省は、教職員定数を改善せず、その時々の加配措置を行ってきました。加配措置は年度主義のため、多くは、臨時教職員の配置を増やす結果になっています。加配ではなく、持ち授業数を軽減できる抜本的な教職員の定数改善を求めます。

4.給特法は、時間外手当を支給しない口実に「時間外勤務は「自主的・自発的」勤務とし、4%の教職調整額を支払うことで「定額働かせ放題」を放置してきました。今回の改正では。教職調整額を上げるとしていますが、「働かせ放題」のシステムは温存されており今日の長時間過密労働を解消するどころか、もっと悪化させるものです。時間外労働を規制するもっとも効果的なものは、残業代支払いに他なりません。時間外手当の支給が可能な給特法の改正を求めます。

5.今回の法案では、「あらたな職(主務教諭)」を創設し、「新たな級」(職務給)を導入するとしています。このことは、職務職階を通じて、教職員を管理分断するものに他なりません。学校は、教職員の対等な共同の力が発揮されてこそ、子どもたちにゆたかな教育を保障することができます。「新たな職(主務教諭)」の設置に反対します。

全退教は、全教、教組共闘連絡会、新婦人とともに「学校に希望を!長時間労働に歯止めを!ネットワーク」(働き方ネットワーク)に取り組んできました。今日の学校現場の異常さは、かつて教育に携わってきた私たちにとって心痛むものです。学校現場の状況を何ら改善せず、一層の教育の管理統制をすすめる「給特法」改正案に断固反対し、政府案の廃案を求め、現場の教職員とともに全力をあげていきましょう。

緊急アピール

全国の退職教職員のみなさん

学問の軍事利用に反対し、学問・教育の自由を守るため、

日本学術会議法案は廃案を!と地域から急いで声をあげましょう

                 2025年4月15日 全日本退職教職員連絡協議会幹事会

  • 学術会議法案をめぐって重大な局面を迎えています。

法案は3月7日本国会に提出され、早ければ4月中にも審議入りしようとしています。新法案は、これまでの学術会議法案をなくし、学術会議を国の機関から外して特殊法人とし、首相任命の「監事」や、内閣府に置く「評価委員会」、外部者でつくる会員候補者の「選定助言委員会」などを新設するとしています。

2.今回の新法案は、菅義偉首相(当時)による6名に任命拒否をもみ消すためのものです。任命拒否された6名の情報開示請求で、候補者選考に安部官邸が介入した事実が明らかになってきています。

政府が学術会議の「あり方」論を持ち出してきて以来、学術会議は一貫して「ナショナル・アカデミーが備えるべき5要件」(国を代表する機関、公的資格、安定した財政基盤、活動の独立、会員選考の自主性)の重要性を指摘し、「法人化」は学術会議の独立性・自律性強化につながるものではないと反対してきました。しかし政府はこれらを一顧だにせず、学術会議を政府や産業界に従属する機関とし、科学者を政府の政策に動員するため、学術会議を解体し目的を改変、全く新しい組織をつくろうとしています。

3.学術会議法は学術が戦争に加担した反省の上に、前文で「我が国の平和的復興・人類社会の福祉に貢献、学術のシンポに寄与する」と表明しています。しかし、法案は、前文からこの発足の平和理念をまるごと削除しています。

ご承知のように戦前の日本は、国民の自由を奪う前にアカデミーの人事と運営の掌握を行いました。学問の自律的な営みに牙を剥き、京都大学の「瀧川事件」(1933年)、天皇機関説事件(1935年)を引き起こし、学問の自由を破壊、先の大戦への道を舗装して行ったのです。そしてこれと一体に、戦争とフアシズムに抗して教労を結成、新興教育運動に力を尽くしてきた先達を弾圧し、「教育赤化事件」として138人を逮捕、教師の良心を獄に繋いだのです。

政府の学術会議への介入は「戦時体制」への整備ともいえるものです。学問の自由の崩壊は、教育に対する国家支配がさらに強まることを意味します。

私たちは子どもを愛し、仲間を大切にし 未来に希望をつないでたたかった歴史を受け継いでいます。思想を処罰し、教師の良心を獄に繋いで戦争へと走った時代かと見紛うばかりの新たな策動を許す訳にはまいりません。

学術会議は4月14・15の総会で、新法案について「会員選考の独立性などを確保するための修正を国会に求める決議」を採択しました。

全国の退職教職員のみなさんが、学問の軍事利用に反対し、学問・教育を守れと、日本学術会議の「特殊法人」化に反対する署名に協力し、地域から取り組みを強められることを心から呼びかけます。           以上

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