未来をひらく憲法9条と子ども・青年の命を守る 退職教職員1万人アピール(全文)

全退教会員、教育関係者のみなさん

安倍内閣が「集団的自衛権の行使」を可能とする「解釈改憲」の閣議決定をし、「戦争する固」へと暴走する事態のなかで、憲法9条は、かつてない重大な局面をむかえています。

この重大な情勢の中で、全退教は第24回総会の決定をふまえ「教え子を再び戦場に送るな!」の新たな決意のもとに、「憲法9条と子ども・青年の命をまもる退職教職員1万人アピール運動」にとりくむことになりました。

この運動は、次のような役割と意義をもっています。

◎戦中・戦後に生き、教育にかかわってきた退職教職員にとって、大きな拠り所である憲法を守りぬくという、大きな意義をもっています。
◎道徳の教科化、新たな教科書統制、6・3・3・4制や教育委員会制度の改悪など、「安倍教育再生実行会議」による「教育改革」を阻止する力にもつながるものです。
◎来年の通常国会に予想される「集団的自衛権」に関わる「自衛隊法」などの関連法案をはじめ、国民の基本的人権を抑圧し、「戦争する国づくり」の道を突き進む、自民党の改憲案を許さない国民的共同の一翼を担うものです。
◎このアピール運動は、立場や信条・組織の違いを超えた全国退職教職員の新たな共同の発展につながります。

痛恨の歴史を繰り返さぬために

今、全退教構成組織と会員は、元管理職関係者の共同声明、地域での定期的な街頭宣伝をはじめ、「9条の会」、「憲法会議」「平和委員会」「原水協」「脱原発」の活動、米軍辺野古基地建設反対などの運動のなかで、大きな役割をはたしています。これは、それぞれの体験や教育実践のなかで、「教え子を戦争に送った」痛恨の歴史への思いが、心に刻まれているからではないでしょうか
1951年、日教組は、忍び寄る戦争の危機に、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを採択し、高知県教組の竹本源治は「戦死せる教え子よ」という詩を県教組機関誌に発表しました。この詩は、ウィーンで開催された第1回世界教員大会で朗読され、参加者の深い感動を呼んだといわれます。

「逝いて還らぬ教え子よ 私の手は血まみれだ!
君を縊ったその綱の 端を私は持っていた…(略)
今ぞ私は汚辱の手をすすぎ 涙をはらって君の墓標に誓う
『繰り返さぬぞ絶対に!』」

わたしたちは、会員のみなさんが先達の痛恨の思いを今に受け継ぎ、「憲法9条と子ども・青年の命をまもる1万人アピール運動」という、歴史的な運動に参加されることを心から訴えるものです。

2014年10月28日

全日本退職教職員連絡協議会(全退教)会長         松村 忠臣
全北海道退職教職員の会(道退教)会長           渡部  務
北海道高等学校退職教職員の会(北海道高退教)会長     平山 耕佑
青森県退職教職員協議会(青森県退教協)会長        平戸 富治
若竹の会(青森県退職女性教職員の会)会長         岩淵 シゲ
秋田県高等学校退職教職員の会(秋田高退教)会長      武石 龍一
全山形退職教職員連絡協議会(全山退教)会長        石垣 政志
いわて退職教職員の会(いわて退教)会長          斎藤 三郎
岩手高校退職者の会会長                  泉  勝夫
宮城県高等学校障害児学校退職教職員の会(宮城高退教)会長 相沢  博
福島県立学校退職教職員の会(福島高退教)会長       高橋 重久
茨城退職教職員の会会長                  五十嵐武夫
茨城県立学校退職教職員の会会長              小川 弘二
全栃木退職教職員の会(全栃木退教)会長          一楽 久夫
全群馬退職教職員の会(全群退教)会長           斎藤  誠
群馬県高等学校退職教職員の会(群馬高退教)会長      梅澤 正紘
埼玉県退職教職員連絡協議会(埼退教)会長         折茂  勲
埼高教友の会会長                     鈴木 智祐
千葉県退職教職員の会(千退教)会長            花沢 武志
東京都障害児学校退職教職員の会(都障退教)会長      角田 昌夫
東京都退職教職員連絡協議会(都退教)会長         小松崎 榮
神奈川県退職教職員連絡協議会事務局長代行         芝崎 文仁
山梨県小中学校退職教職員友の会(梨退教友の会)会長    松上 芳雄
山梨県高校・障害児学校退職教職員の会(山梨高退教)会長  中野 一彦
長野県高等学校退職教職員協議会(長野県高退教)会長    中島  武
新潟公立高教組退職者の会(新潟公立高退教)会長      横山  潔
富山県高等学校退職教職員協議会(富山高退教)会長     柴田健次郎
静岡県立学校教職員退職者の会会長             石田 義明
愛高教退職者の会(愛知高退教)会長            村上 俊雄
三重県退職教職員の会事務局長               堀  富夫
滋賀退職教職員の会(滋賀退教)会長             谷本 善弘
滋賀県高等学校退職教職員協議会(滋賀高退教)会長     八田 光雄
京都退職教職員の会会長                  長谷川英俊
奈良県退職教職員の会(奈退教)会長             藤井 正紀
和歌山県退職教職員協議会(和歌山県退教協)会長       中谷 吉治
和歌山県高等学校退職教職員協議会(和歌山県高退教協)会長  三木 和幸
大阪退職教職員の会(大退教)会長              林  正敏
兵庫退職教職員の会会長                  桂 仲二郎
兵庫県高等学校退職教職員の会(兵庫高退教)会長       田淵 賀威
岡山県高校・障害児学校退職教職員の会(岡山高退教)会長   萱  栄次
島根県退職教職員の会(島退教)会長             仲佐 和幸
全広島退職教職員連絡協議会(全広島退協教)会長       高橋 信雄
山口県退職教職員協議会(山口県退教協)会長         福江 敦介
山口県高等学校退職教職員協議会(山口県高退教)会長     谷本 育紀
佐賀県高等学校退職教職員協議会(佐賀高退教)会長      武富サナエ
長崎県公立学校・障害児学校退職教職員の会(長崎高退)会長  荻谷 瑞夫
香川県退職教職員連絡協議会(香川退教協)会長        森川 善弘
香川県高等学校退職教職員連絡協議会(香川高退教)会長    小田 俊夫
愛媛県退職教職員連絡協議会(愛媛県退教協)会長       竹内 祐也
高知県退職教職員協議会(高知県退教協)会長         藤本 眞事
高知県高等学校退職教職員協議会(高知高退協)会長      倉橋 楠雄
徳島県退職教職員連絡協議会(徳島退教)会長         詫間 敬久


 力をあわせ、憲法9条と子ども・青年の命を守りましょう

日本国憲法は、まもなく施行70年を迎えようとしています。憲法9条は、戦後、日本が世界の戦争に一度も参加することなく、日本社会の平和的な発展に大きな役割をはたしてきました。
ところが、ことし7月1日、安倍政権が「集団的自衛権の行使を可能」とする閣議決定を行い、平和主義をうたった憲法は制定以来、最大の危機を迎えています。国の最高法規を、一時の内閣の閣議決定によって、その基本原則である「9条」を骨抜にして「戦争する国」へと大きく舵をきり変えることは、民主主義の根幹を踏みにじる暴挙です。

☆憲法9条は人類の宝―わたしの希望です
1947年、文部省発行の教科書「あたらしい憲法のはなし」は、「二度と戦争をしないように」戦力を放棄したことについて、「日本は正しいことをほかの国よりさきにおこなったのです」と記しました。それは戦禍のなかの子どもと教職員にとって大きな〝希望の光〟でした。
ところが、その〝希望〟も束の間、歴代の政権政党によって、憲法の精神と平和的で民主的条項は骨抜にされるなど、幾度も「改憲」の風雨にさらされてきました。しかし、〝平和が一番〟という国民の力によって「明文改憲」を許さず、今日に至っています。
憲法9条「改正」反対の国民世論は6割近くにも達し、今回の閣議決定による「解釈改憲」に、「改憲」論者や与党内部からも批判の声があがりました。閣議 決定に反対する自治体決議は190を超え、憲法研究者157氏の声明が発表されました。また、イラクへの日本の自衛隊派遣という重大事態のなかで、大江健三郎さんなどの呼びかけで結成された「9条の会」は、思想・信条・立場を超えて全国で7000にも及び、草の根から大きな波となっています。
さらに、1999年にオランダのハーグで開催された「世界平和市民会議1999」では、最重要課題として、「各国議会は、日本国憲法9条のような、政府が戦争することを禁止する決議を採択すべきである」と決議しました。このように憲法9条の精神は、国際的な流れにもなっています。

☆「おとなはなぜ戦争するの?」―その訴えに応えて
いま、子どもたちは、国際紛争で多くの幼い命が犠牲になっている現実に心を痛めています。「おとなはなぜ戦争するの?」「どうして話しあいで解決できないの?」と問い、「おとなが起こした戦争の犠牲になるのはいや」(『子どもの声を聞く文学者の会』編「おとなはなぜ戦争するの」)と訴えています。おとなは、この問いかけや訴えに誠実にこたえる責任があります。
ところが、安倍内閣は「教育改革」によって、教科書などの教育内容に過去の侵略戦争を美化し、「愛国心」を押しつけて、人間の内心にまで介入し統制する動きをいちだんと強めています。わたしたちは、命を育む教育の営みに関わってきたものとして、教え子、未来ある子ども、青年を戦場に送ることをぜったいに許すことはできません。
戦争か平和の道かという、せめぎ合いの中にあるいま、教え子・保護者・国民のみなさんが安倍内閣の「集団的自衛権行使」を認める閣議決定を撤回し、憲法9条と子ども・青年の命をまもるために、ともに歩まれることを心から呼びかけるものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする